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東京地方裁判所 昭和48年(刑わ)4871号 判決 1975年8月28日

本籍

栃木県下都賀郡都賀町大字木六五九番地

住居

東京都足立区梅田七丁目三一番一号

もと会社役員

相田弘

昭和四年六月二日生

右の者に対する贈賄、所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官興野範雄出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金六〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金六万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用中、証人小堺英雄、同宮内章、同辻良四郎、同斉藤啓太郎、同小野一男、同沢田和雄、同大谷近一郎、同寺井隆に支給した分をそれぞれ二分し、その各一を被告人の負担とする。

理由

第一被告人の経歴、犯行に至る経過等

被告人は、早稲田大学に在籍したのち、東京都内でテントの販売を始め、昭和三二年ころから、他人の斡旋で各種の資材機器を官公庁に納入するいわゆる代納業者となり、昭和四〇年以降は、有力な国会議員の私設秘書になつたことなどから、林野庁の幹部と面識をもつようになり、これを利用するなどして、取引先を主として林野庁の地方支部局である営林局、営林署に広げていつたが、これらの機会を通じて営林局署等で業務上必要な機器についての情報を入手できるようになると、それに見合う新製品を開発して積極的に売り込もうと考えるようになり、昭和四四年には中央精器株式会社という会社形態を整え、運搬及び操作が簡単なテント(商品名グリーン幕舎)及びポーロツト等を製造して営林局署に大量に売込むことに成功した。被告人は、その過程で林野庁業務部業務課に出入りする間に、同課の治山班施設係長で、コンクリートの技術に詳しい日置幸雄と親しくなり、同人から治山事業等に使うコンクリートの品質管理上、コンクリートのワーカビリテイを測定する機械があれば便利であるとの話を聞くと、これを開発しようと思い立ち、昭和四五年七月ころ、日置及びその上司にあたる業務課長補佐富沢滋から大阪営林局大津コンクリート試験室の係官を紹介してもらい、同試験室の技術者の応援を得て実験を繰り返した結果、翌昭和四六年一月ころ、ワーカビリテイテスターを完成させ、日置にその取扱い説明書及びカタログを書いてもらうなどしたうえ、営林局署等にこれを売り込み、一千万円以上の純利益をあげることができた。同年四月になぬと、被告人は、右ワーカビリテイテスターをはじめ、爾後売り出す製品の宣伝等に利用するため、継続的にパンフレツトを発行することにし、日置にその編集及び原稿の作成等を依頼して「技術ニユース」等の標題のパンフレツトを印刷し、林野庁はじめ営林局署等に配布するようになり、次いで、同年八月ころからは、日置及び同人と親しい長野営林局治山課長補佐斉藤啓太郎の助言を得て、生コンクリートのワーカビリテイを測定する機械の開発を計画し、右斉藤及び間もなく森林土木専門官となつた日置の協力により、翌昭和四七年一月ころレミコンテスターを完成させて営林局署等に売り込み、一千万円以上の純利益をあげることができた。被告人は、右レミコンテスターを建設省関係の各機関にも売り込もうとして同省の土木研究所等に出入りするうち、同省では、いわゆるコンクリートの二八日強度を早期に測定できる促進養生槽の開発研究をしていることを知つたので、日置に相談し、その助言を得た結果、被告人としては、電気及びプロパンガス両用の小型の促進養生槽を開発することにし、この間、たまたま知り合つた建設省河川局次長川田陽吉にも積極的に近づくようになり、同年一一月ころ促進養生槽を完成させると、これを営林局署及び建設省に関係のある各県土木部河川課等に売り込み、七〇〇万円以上の純利益をあげることができた。

第二罪となるべき事実

一  所得税法違反

被告人は、前記のとおり、テント及びコンクリート試験器の販売を業としていた者であるが、自己の取引の斡旋者に対する謝礼金の捻出と備蓄のため、自己の所得税を免れようと考え、あらかじめ銀行に開設した仮名の当座預金口座に売上金を振り込ませるなどして、売上によつて得た収入の一部を除外する等の方法により所得を秘匿したうえ、

(一)  別紙第一に記載のとおり、昭和四五年分の実際の総所得金額が四、四九七万四、二七二円であつたのに、昭和四六年三月二日、東京都足立区千住旭町四番二一号所在の所轄足立税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一二八万円であり、これに対する所得税額が四万五、二〇〇円である旨を記載した虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同年分の正規の所得税額二、三九八万五、三〇〇円と右申告税額との差額二、三九四万〇、一〇〇円を免れ(税額の算定は、別紙第三に記載のとおり)、

(二)  別紙第二に記載のとおり、昭和四六年分の実際の総所得金額が二、六〇四万二、六五三円であつたのに、昭和四七年三月六日前記足立税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一三〇万円であり、これに対する所得税額が三万三、一〇〇円である旨を記載した虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同年分の正規の所得税額一、一八五万六、三〇〇円と右申告税額との差額一、一八二万三、二〇〇円を免れた(税額の算定は別紙第三に記載のとおり)。

二  日置幸雄に対する贈賄

(一)  日置幸雄の職務権限等

被告人は、前記のとおり、昭和四四年に日置幸雄と知り合つたが、当時、同人は、林野庁長官の統轄のもとにあつて、同庁業務部業務課治山班施設係長としてその直属の上司である同課の課長補佐富沢滋の命を受け、同係の所掌事務である国有林野における山地治山施設事業に関する事務を処理しており、したがつて、同人は、同事業の予算の編成、配布並びに林野庁の地方支分部局である各営林局の長及びこれを通じて、これまた同庁の地方支分部局である各営林署の長に対し、それぞれの分掌する治山事業につき、同事業用資材機器の購入等、同事業の予算の執行に関する指導監督及び同事業に関する技術上の指導をする職務権限を有していたものであり、また昭和四六年九月一日以降は、同課配置の森林土木専門官として、国有林野における治山事業に関する専門技術上の事項についての企画、調査及び連絡調整に関する事務を行い、かつ、施設係長の後任の発令がないため、前記施設係長の職務も引き続き担当していた。したがつて、同人は、いずれの時点においても、各営林局長及びこれを通じて各営林署長に対し、国有林野における山地治山施設事業に関する予算の執行上及び技術上の指導として、同事業を実施するうえに必要な特定の機器を購入使用するよう推奨することができる立場にあつて、特に、コンクリートの品質管理に関する指導や審査を得意としていたものであり、これを知つた被告人は、昭和四五年中に、前記富沢を通じて、さらに、自ら直接日置に対し、同人の指導等を受けて開発したワーカビリテイテスターにつき、同人からも営林局署に推奨宣伝してもらいたい旨依頼したところ、同人は、昭和四六年三月上旬ころ、全国の各営林局長の補助機関である各局の治山課長等を東京都内に集めて予算執行事務の打ち合せ(ヒヤリング)をしたさいに、参集した各営林局の担当係官に対し、ワーカビリテイテスターの取扱い説明書及びカタログを渡したうえ、「今度、ワーカビリテイテスターというものが出来た。これは大津コンクリート試験室の協力を得て出来たものでありますからよろしくお願いします。」と言つて、治山事業の実施にあたつて、これを購入使用するよう推奨宣伝した。また、同人は、翌昭和四七年二月末から同年三月初めにかけて全国の各営林局の担当係官を集めて予算執行事務の打ち合わせをしたさいに行われた各営林局との個別会議の席上、前記レミコンテスターについて、各営林局の担当係官に対し、「一月に発刊してお手元に届いている技術ニユースにレミコンテスターのあらましのことは書かれております。」「レミコンの品質管理に役立ちますよ。」等と言い、さらに、翌昭和四八年一月下旬、全国の各営林局治山課長を集めて予算執行業務の打ち合わせをしたさいの個別会議において、参集者に対し、数個の会社のカタログとともに被告人の開発した前記促進養生槽の絵を配布したうえ、「これらのカタログは各社から来ているものですが、現場でひとつお使い下さい。」と言い、次いで同年三月中旬、前同様開催された治山課長会議のさい、参集者に対し、会議の資料と一緒に右促進養生槽の取扱い説明書及びカタログを配布したうえ、「促進養生槽が完成したので使用してもらいたい。」等と言つて、それぞれ、治山事業の実施にあたつて被告人の開発した各機械を購入使用するよう推奨宣伝した。以上のような日置の好意的な取り計らいの効果もあつて、前記のとおり、被告人は、自己の開発した各機械を全国の営林局署に売り込むことができ、多大の利益をあげることができた。

(二)  被告人の贈賄の事実

被告人は、右(一)記載の好意的な取り計らいをしてもらつたことに対する謝礼の意味と将来も取り計らいを受けたいとの趣旨をこめて日置に対し、

1 別紙第四犯罪行為一覧表に記載のとおり、昭和四六年三月一五日ころ、東京都千代田区霞が関一丁目二番一号所在の農林省の屋上喫茶室において、ワーカビリテイテスターの取扱い説明書の編集原稿料の名目で、現金五万円を手渡したのをはじめ、以後、昭和四八年六月二八日ころまでの間合計一六回にわたり、合計七か所において、現金九九万円を交付し、

2 韓国旅行に誘い、その費用を自分が負担する心算で、昭和四六年九月一日ころ、東京都千代田区丸の内三丁目二番二号所在のアメリカン・エキスプレス・インターナシヨナル東京支社において、額面合計二〇〇米ドル(邦貨換算金六万八、〇〇〇円)の旅行者用小切手及び「ジヤルパツク韓国五日間旅行」の旅行券一名分(金一〇万四、八〇〇円相当)を交付し、

もつて、日置幸雄の職務に関し賄賂を供与した。

三  川田陽吉に対する贈賄

(一)  川田陽吉の職務権限等

被告人は、前記のとおり、昭和四七年に川田陽吉と知り合つたが、同人は、建設省河川局長として、建設大臣の統轄のもとに、河川局長を助け、局務を整理する職務権限を有していた者であるところ、河川局の所掌事務の中には、直轄の河川工事の調査、計画及び実施並びに国の補助事業である河川工事の指導、監督及び助成(治水課の所掌するもの)、直轄事業である多目的ダムの建設に関する調査、計画及び工事の実施並びに補助事業である河川総合開発事業の調査、計画及び実施の指導、監督及び助成(開発課の所掌するもの)、海岸保全施設に関する直轄工事の調査、計画及び実施並びに補助事業である海岸の改良工事の指導、監督及び助成(海岸課の所掌するもの)等の事務が含まれている。したがつて、川田は、河川局次長として、直轄工事については、建設省の地方支分部局である各地方建設局の長に対し、その分掌する各建設工事の工事費、機械器具費等の経費を定める実施細目を決定し支出負担行為の計画決定によつて歳出予算を示達することなどを含めた一般的指揮監督をし、補助事業については、国の機関として事務を処理する各都道府県知事に対し、右同様その実施細目及び補助金の交付の決定をし、その事業の状況を報告させ、工事の技術指導をすることなどを含めた一般的指揮をし、局務を整理する職務権限を有していたものであるから、自ら直接又は河川局各課の係官らを通じて、直轄事業については各地方建設局長に対し、補助事業については各都道府県知事に対し、直轄事業又は補助事業に関連を持つ予算執行上及び技術上の指導として、各事業の実施に必要な特定の機器を購入使用するよう関係機関に推奨することができる地位にあつた。そこで、被告人は、川田に対し、前記促進養生槽の購入使用方を、各地方建設局あるいは都道府県の各担当者に推奨してもらいたい旨依頼したところ、同人は、昭和四八年一月中旬ころ、河川局治水課長栂野康行に対し、補助事業の河川改修工事のさいに前記促進養生槽を購入使用することを各都道府県知事の補助機関である各都道府県吏員に推奨するよう指示し、また、同年二月初旬ころ、各都道府県の担当係官を集めて予算執行事務の打ち合わせ(ヒヤリング)をしたさいに、島根県土木部河川課長濡木久にに対し、補助事業の実施にあたつて促進養生槽を購入使用するよう直接推奨したのをはじめ、同年七月ころまでの間に、河川局開発課、治水課の各課長、係官及び茨城、山形、愛知の各県土木部河川課長らに対し、補助事業に関してそれぞれ右同様の指示又は推奨をした。また、川田の右指示を受けた河川局各課の係官らは、同年二月ころから五月ころまでの間に行われた各予算執行事務の打ち合わせのさいに、茨城、山形、山梨、島根、富山、福島等数県の土木部河川課長らに対し、それぞれ補助事業の実施にあたつて促進養生槽を購入使用するよう推奨した。以上のような川田の好意的な取り計らいの効果もあつて、被告人は、同年四月上旬ころから同年九月ころまでの間に、山梨県土木部河川課等、建設省の所管関係だけでも合計約二四台の売込みに成功し、利益を上げることができた。

(二)  被告人の贈賄の事実

被告人は、右(一)記載の好意的な取り計らいをしてもらつたことに対する謝礼の意味と将来も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨をこめて川田に対し、

1 昭和四八年一月下旬ころ、東京都千代田区霞が関二丁目一番三号所在の建設省河川局次長室において、川田から、同人が河川局の事務系の幹部七名を慰労するため同月五日に東京都港区芝虎の門二四番地木村屋ビル内の割烹「虎の門まんがん」(藤栄産業株式会社経営)で開いた宴会の費用金八万八、六二九円及び川田が河川局防災課災害調査官一五名を慰労するため同月一八日に東京都千代田区有楽町一丁目四番地の料理店「一松」(株式会社一松経営)で開いた宴会の費用金一四万五、四八五円を川田に代つて支払つてもらいたい旨依頼されると、即座にこれを承諾し、同年二月五日、第一勧業銀行虎の門支店の右藤栄産業株式会社の普通預金口座へ金八万八、六二九円を、同年二月二七日、富士銀行数寄屋橋支店の右株式会社一松の当座預金口座へ金一四万五、四八五円をそれぞれ振込送金してその支払をし、

2 昭和四八年五月一〇日ころ、川田からその部下の梅村栄夫を通じて、川田と親しい新聞記者坪井良一が昭和四七年一二月四日東京都中央区銀座八丁目二番一六号岩田ビル二階のクラブ「らくだ」(石倉さと子経営)において飲食し、川田がその支払をすることを引き受けた飲食代金二万三、五〇〇円及び川田が坪井の同僚荻野記者の壮行のため同年一二月一二日同クラブで開いた宴会の飲食代金四万二、一二〇円を川田に代つて支払つてもらいたい旨依頼されると、これを承諾し、昭和四八年五月二四日、富士銀行四谷支店の右石倉の普通預金口座へ右合計金六万五、六二〇円を振込送金してその支払をし、

3 昭和四八年七月下旬ころ、前記河川局次長室において、川田から、同人が坪井ら三名を招いて同月三日東京都港区赤坂三丁目一七番一号の料亭「赤坂満ん賀ん」で開いた宴会の飲食代金五万一、九八八円を川田に代つて支払つてもらいたい旨依頼されると即座にこれを承諾し、同年九月七日、東海銀行赤坂支店の「赤坂満ん賀ん」の当座預金口座へ同金額を振込送金してその支払をし、

合計金三五万一、七二二円相当の財産上の利益を与え、もつて川田陽吉の職務に関し賄賂を供与したものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、被告人の当公判廷における供述

判示第一及び第二の一の事実につき

一、被告人の検察官に対する昭和四八年九月一三日付(二通)及び同月二一日付(一二枚綴りのもの)各供述調書

判示第一及び第二の二の事実につき

一、被告人の検察官に対する昭和四八年一〇月六、七、八日付供述調書

判示第一及び第二の三の事実につき

一、被告人の検察官に対する昭和四八年一〇月一二日付供述調書

判示第二の一の事実につき

一、相田照子の検察官に対する昭和四八年九月一二日付、同月一三日付、同月一四日付、同月一七日付、同月一八日付、同月二一日付、同月二二日付、同年一〇月五日付、同月九日付各供述調書

一、沢田和雄の検察官に対する供述調書謄本

一、次の者の大蔵事務官に対する各質問てん末書

相田照子(一四通)、増木克己、岡本キミ、桜井静夫、岡本義夫

一、次の者作成の「取引内容の照会に対する回答」と題する各書面

旭川営林局調達係、士別営林署長、北見営林局長、白滝営林署長、清水営林署長、釧路営林署長、阿寒営林署長、弟子屈営林署経理係、函館営林局経理課調達係、木古内営林署長、乙供営林署長、碇ケ関営林署長、秋田営林局長、増田営林署長、前橋営林局長、沼田営林署長、名古屋営林局調達係、金沢営林署長、京都営林署長、奈良営林署長、岡山営林署長、津山営林署経理課物品係、鳥取営林署長、高知営林局長、徳島営林署長、松山営林署長、高知営林署長、野根営林署経理課物品係、財団法人林野弘済会帯広支部長、同会岩手出張所長、同会名古屋支部長、同会熊本支部長、関東農政局那須野原開拓建設事業所庶務課、同農政局大利根用水農業水利事業所長、北陸農政局関川農業水利事業所代表者高木悦郎、中国四国農政局中海干拓事業所所長、同農政局笠岡湾干拓建設事業所庶務課長、青森県副出納長、秋田県出納長、宮城県出納局会計課長、岩手県農政部構造改善課長、茨城県出納事務局長、千葉県出納局長、長野県会計局会計課庶務係長、宮城県仙台土木事務所長、福井県朝日土木事務所長、同県鯖江土木事務所長、同県大野土木事務所長、岡山県笠岡土木事務所長、秋田県山本土木事務所長、徳島県相生土木事務所長、福島県会津若松農地事務所代表者、新潟県佐渡農地事務所長、山梨県鰍沢林務事務所長、同県塩山林務事務所長、徳島県川島農林事務所長、静岡県磐田財務事務所出納員、徳島県鳴門財務事務所長、福島県会津若松出納事務所長、山梨県峡中土地改良事務所長、旭川興林産業代表取締役河端定吉、東北農政局米沢平野農業水利事業所長、関東農政局高浜入干拓建設事業所長、東海農政局青蓮寺開拓建設事業所長、山形県農林部林政課長、神奈川県出納長事務局出納課支出係、茨城県境土地改良事務所長、羽咋林業事務所出納員、富山県立山土木事務所長、滋賀県彦根土木事務所、岡山県岡山土木事務所長、山口県柳井土木事務所長、山梨県大月林務事務所長、糸魚川財務事務所長、京北建設株式会社代表取締役井上源四郎、東建工業株式会社小師鈴子、鈴広株式会社経理課長中村匡男、寺西フアスナー株式会社三筋支社北瀬勇、日南光学測機株式会社経理課常務金田俊顕、大田商事株式会社、山王産業株式会社代表取締役菊地寿策、双立通信機材株式会社、神田通信商事株式会社総務課横山慶太郎、丸善工業株式会社東京営業所長加藤定、西海建設株式会社経理福田泰次、佐藤シート商会代表者佐藤安一、小島鉄工株式会社小島勝男、サンエム興業株式会社営業部高田和子、株式会社山岡製作所代表取締役岡本義夫、東洋フレツクス工業株式会社長野文子、二光電気株式会社社長内川金之助、株式会社丸一鋳物工場経理係中井尚人、弘明社仲渡沢之助

一、次の者作成の「取引の内容について(回答)」と題する各書面

士別営林署物品係、北見営林局調達係、帯広営林局経理課調達係(二通)、帯広営林署会計係、広尾営林署経理係、上士幌営林署経理係、礼幌営林局経理課調達係、鵡川営林署調達係、函館営林局経理課調達係、青森営林局経理課長、大間営林署経理課長、秋田営林局調達係長(五通)、東京営林局経理課調達係、名古屋営林局調達係、尾鷲営林署物品係長、福山営林署経理課物品係、日原営林署経理課長、川本営林署藤原、高知営林局経理課調達係、大正営林署経理課長、窪川営林署経理課長、須崎営林署経理課調達係、大栃営林署物品係長、馬路営林署経理課会計係、熊本営林局長、同営林局調達係、佐伯営林署経理課経理係、林野弘済会函館支部長、同会長野支部長、同会熊本支部長、北陸農政局阿賀野川用水農業水利事業所機材課員、徳島県池田土木事務所庶務係、同県鳴門土木事務所庶務係、新潟県六日町財務事務所出納課長、同県安塚土木事務所長、富山県入善土木事務所主任、同県高岡土木事務所、北陸農政局新川農業水利事務所、埼玉県飯能出納事務所第二課長、浅田建設株式会社代表取締役浅田信夫、北陸農政局魚野川東部開拓建設事業所経理係長、東北農政局平川農業水利事業所庶務課長、鉾田土地改良事務所、青森県鰺ケ沢土木事務所総務課員、石川県鶴来林業事務所、西津軽農業水利事業所経理係長、新潟県柏崎財務事務所出納課主任、東北農政局母畑開拓建設事業所長、島根県出納係長、敦賀営林署農林事務官、

一、次の者作成の「取引内容の照会について」と題する各書面

青森営林局長(二通)、長野営林局長、大阪営林局長、新見営林署長、

一、市川金属工業株式会社市川敏夫作成の「中央精器株式会社との取引内容について」と題する書面

一、株式会社榎本商店代表取締役榎本拡造作成の「中央精器(株)との取引について」と題する書面

一、城北計器製作所取締役松野吉甫作成の「相田建設機械株式会社との取引内容について」と題する書面

一、株式会社山岡製作所取締役岡本キミ作成の「取引内容について」と題する書面

一、石川繊維株式会社取締役社長石川利男作成の証明書

一、大蔵事務官中村直記作成の検査てん末書

一、大蔵事務官田中清隆作成の調査元帳四通

一、大蔵事務官田中清隆作成の「売上高集計表」、「棚卸調査表」、「グリーン幕舎売上明細表」、「グリーン幕舎原価計算表」、「支払手数料調査表」、「減価償却調査表」、「給料原稿料支払調査表」と題する各書面

一、検察官作成の昭和四八年一〇月一六日付報告書

一、水谷重己作成の昭和五〇年八月二六日付電話聴取書

一、押収してある売上帳・仕入帳一綴(昭和四九年押第二一七号の一)、売掛帳一綴(同押号の二)、営林局勘定帳一綴(同押号の三)、無表題帳簿一綴(同押号の四)、中央精器技術ニユース稿料計算表一綴(同押号の五)、昭和四五年分所得税確定申告書一綴(同押号の六)、昭和四六年分所得税確定申告書一綴(同押号の七)

一、第一回(昭和四九年二月一三日のもの)公判調書中被告人の供述記載

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書四通

判示第二の二の事実につき

一、証人富沢滋、同辻良四郎、同斉藤啓太郎、同小野一男、同沢田和雄、同多田甫、同野村靖、同門永幹雄、同猪俣昭、同大沢豊、同寺井隆の当公判廷における各供述

一、日置幸雄の検察官に対する供述調書謄本一三通

一、野村靖の検察官に対する供述調書

一、相田照子の検察官に対する昭和四八年九月二一日付、同月二二日付、同年一〇月五日付、同月九日付(以上はいずれも謄本)、同月一一日付各供述調書

一、山路明美の検察官に対する供述調書

一、被告人の検察官に対する昭和四八年九月一六日付、同月二一日付(一五枚綴りのもの)、同年一〇月一日付、同月五日付、同月六日付、同月八日付、同月一〇日付(二通)、同月一一日付各供述調書

判示第二の三の事実につき

一、川田陽吉の検察官に対する供述調書六通(昭和四八年一〇月一二日付のものを除き、他はいずれも謄本)

一、小堺英雄(三通)、山口甚郎、栂野康行(二通)、井上章平(二通)、宮内章(二通)、堀和夫(昭和四八年一〇月四日付、同月一六日付)、小藪隆之(二通)、吉武公夫、竹腰正保、芳賀幸夫、高木徹、濡木久、武藤徳一の検察官に対する各供述調書

一、三本木健治、梅村栄夫、嶋村盛郎、大須賀トモイの検察官に対する各供述調書

一、細川弥重、吉田雅郎、松山満智子の検察官に対する各供述調書

一、坪井良一、石倉さと子(二通)の検察官に対する各供述調書

一、高岩迪資(昭和四八年一〇月九日付)、太田勝子、高木嘉津子の検察官に対する各供述調書

一、被告人の検察官に対する昭和四八年九月一八日付、同年一〇月一二日付、同月一三日付、同月一四日付、同月一五日付、同月一六日付、同月一七日付(三一枚綴りのもの)各供述調書

(法令の適用)

被告人の判示第二の一の(一)、(二)の各所為は、いずれも所得税法二三八条一項前段に、判示第二の二、三の各所為は、それぞれ一罪として刑法一九八条一項前段(一九七条一項前段)、罰金等臨時措置法三条一項一号に各該当するところ、判示第二の一の(一)、(二)の各罪につき、所定刑中いずれも懲役刑と罰金刑とを併科することとし、判示第二の二、三の各罪につき、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の一の(一)の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条一項によりこれを右懲役刑と併科することとし、同条二項により判示第二の一の(一)、(二)の各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年及び罰金六〇〇万円に処し、被告人が右の罰金を完納することができないときは、同法一八条により金六万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、なお情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予し、訴訟費用は、刑訴法一八一条一項本文により主文第四項の区分に従つて被告人に負担させることとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 久保内卓亜)

別紙第一 修正損益計算書

相田弘

自 昭和45年1月1日

至 昭和45年12月31日

<省略>

別紙第二 修正損益計算書

相田弘

自 昭和46年1月1日

至 昭和46年12月31日

<省略>

別紙第三 課税総所得金額および逋脱税額計算書

<省略>

(注1) 44,119,000×65%=28,677,300

28,677,300-4,692,000=23,985,300

(注2) 25,073,000×60%=15,043,800

15,043,800-3,187,500=11,856,300

別紙第四 犯罪行為一覧表

<省略>

<省略>

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